『後妻業』
映画『後妻業の女』のテレビCMの印象が残っているうちに、たまたま駅の本屋で見かけて、つい手に取った。金目当てのあざとい二人も、大竹しのぶと豊川悦司のイメージで、関西弁のテンポで読むと、楽しくあっという間に読んでしまった。
結局誰にも何にも残らないラストが、大阪ノワールを描き続けている作者の厳しさを表しているのだろうか。
原作の最後で重要な役になる小夜子の弟が、映画の登場人物にいないから、きっとラストは違ってくるんだろう。(不動産王も鶴瓶が演じていて、私のイメージにはない)
金と欲に満ちていてあこぎな言動でも、大竹しのぶがするなら許せてしまう。
そして一人でいいから私にも、お金持ちの彼がほしいものだと。
『プラチナデータ』
読んだ順と記事にする順番や日付がぐちゃぐちゃになっているけど、一応、この夏に読んだので、記念にアップしておくことに。
二重人格・多重人格の作品には、かつてはまったことがある。
『二十四人のビリー・ミリガン』 ダニエル・キイス
『五番目のサリー』 ダニエル・キイス
『失われた私』 ローラ・シュライバー
だから、少女が出て来た時に「ぴんっ」ときたんだけど、犯人が彼女でないとは…!!
巨大なデータを扱うプログラムが主人公を排除するパターンのSFも、どこかで読んだことがある。
東野圭吾は、既存のモノをうまく組み合わせて、現代風に味付けするのがうまい。
まさに、文章の料理人!?
『幻夜』と『白夜行』
行きつけの飲み屋のママから勧められて、東野圭吾はあまり得意じゃないけど読んでみた。お客さんの本らしいんだけど。
クールな文体がキチッとした世界観と、イメージしやすい鮮やかな人物を描き出していく。最初の設定も引きつける。読み進めるうちにストーリーのその先も気になってきて、気づくとすっかり入り込んでいた。
ママが「読み始めたけど、これ前に読んだことがあったかもしれない」と言ったのは、もしかしたら『白夜行』と重なってしまったのではないかしら。
過去を消す必要のある男女が都会に出て来て、男が女のために秘密裏に動いていくが、結局、男は身を滅ぼし、女が成功する…という図式がそっくり。
女の冷酷さと美貌と才気、それに引きづり込まれてしまう周りの人々…という構図も。
どちらも夜の世界を密かに歩いているイメージなのね。
本を貸してくれたママも夜の女だけど、明るくて気っぷのいい気持ちのいい人で、子連れ再婚も果たして円満に暮らしている。
『クリーピー』
夏はちょっとゾクッとする話がおもしろい。
ママの好みか?時々スリリングな話を貸してくれる。
現代にあって一番怖いのは、人間。身近な人の中に見える心の闇。
こういうのを楽しめる心境の時は、周りに怖い人がいない、結構安心して暮らせているってことなんじゃないだろうか。
ドキドキして、スリル満点!しかもラストはちょっとホッとする。
これも原作だけで、映画は予告編しか見てないけど、西島秀俊と香川照之のコンビをイメージして読んだ。この組み合わせはホントーに素敵。『インファナルアフェア』の日本版リメイクも許せたし、『MOZU』も楽しい。それぞれに花があるし、個性が響き合う緊張感で映像が引き締まる。
でも、やっぱり大物二人を生かせるストーリーがいいのでしょうね。
ライオンでおしゃべり
1時に待ち合わせて、昼からビールとランチの料理をシェアしながら話し始め、二杯目のジョッキが空になったので、店員に片付けられたのを機に腰を上げ、ウインドウショッピングをしながら二件目を見つけて、そこでコーヒーを飲み…気づけば6時。
二人で途切れることなく5時間もしゃべり続けた!
子どもが小さい頃、一緒になんやかんやして過ごした友だちは、苦楽を共にした戦友のよう。
子どものこと、家族のこと、飼っている猫やウサギや犬のこと、仕事や旅行のこと等々。
話し始めたらホントーにエンドレス。楽しい午後でした。
上の子を育てて一番勉強になったことは「待つ」ってことね。
待てるようになったってことが、ほんとに自分で変わったな~って思うわ!
とは、友人の言。なるほどね!さすがです!!
きっかけ
私の子育てを振り返ってみると、ずーっとお姉ちゃんに手をかけていたような気がする。おひげの弟は陽気で自立しているような気がして、あまり男の子にべたべたしては…とのためらいも重なって、6ロク4ヨンで姉弟だったかな…と。私がそう思うなら、きっと弟のほうは、もっと手を抜かれていたと思っているかもしれない。
などなど、そんなこんなの手加減の反省や
本当ならしなくてもいい「冒険」の数々や
機能不全の家庭で育ててしまった後悔が
私たちの間の会話や符丁のやりとりを経て、猫を飼うことで、ひげの弟の心の欠落を埋める何かになるのではないかと思い至った。
そんな道具みたいに使われたらどうかな…と思いつつ、思い立って走り出したら気が済むまで止まらない私なのだった。